LOW FLYING OWLS/Take The Scenic Route

★★★★

↓の2ndがかなり良かったので2001年リリースのデビューアルバムも購入。この段階ではまだガレージ・サイケ感はかなり薄めな印象。このアルバムは初期TCTCのサウンドをもうちょっとスタイリッシュにまとめたような感じで、その辺が好きな人はかなり気に入りそうな。ボーカルの声も、がなっていない時のベンとかなり似てる。

幻想的なシンセの響きで構築されたインストナンバーから突入するTr.2の"Captain's Sun"では、骨太なギターリフがガンガン押し寄せてくるへヴィーなサウンドが中盤で一気に転調し、浮遊感のあるサウンドとともにゆったりと聴かせる歌物に変わるのが面白い。Tr.3"High Noon"は、Travisばりの叙情系アコースティックギターが奏でるメロディーに、力強いドラムとメロディアスなベースライン、ザクザクしたギターリフやフィードバックノイズが絡んできて、へヴィーだけど柔らかさも感じさせる不思議なロックがかき鳴らされていて、これもまた面白い。メランコリックにたゆたうギターサウンドと微妙なサイケ感が4th期のOasisっぽい"Snow Song"は、派手な起伏は無いものの6分にわたる曲をしっかりと聴かせきる。中盤から終盤にかけてはアコースティック調の静かな曲調が多いが、Tr.10の"Sounds Like New Year's"では、クーパーの"Solitude"にも劣らないようなフィードバックギターとシンセ、ベースが暴れまわるインストナンバーを演ったりしている。

全体で35分と結構短めの内容で、強烈なインパクトのある曲はないものの、要所要所のインストナンバーがうまく作品全体の雰囲気をまとめ上げているスタイリッシュなロックアルバム。

Elixir Vitae

★★★★☆

2003年8月にリリースされた2ndアルバム。
ガレージロックサウンドを根底に、US産バンド特有の、男っぽい土臭さを感じさせる空気を伴ったサイケデリックなグルーヴが、とぐろを巻きながら押し寄せてくる強烈な1曲目、"Glad To Be Alive"は、こちらをノックアウトするのに十分すぎるほどのインパクトを持ったオープニングナンバー。むちゃくちゃカッコ良い。ジザメリ+MC5のようなTr.2、"Swingin' Sam"では、咆哮するギターに中盤でkeyboardが絡み、ガレージロックの破壊力にサイケロック特有の横揺れの陶酔感を与えている。反復するリズムと轟音ギター、終盤で鳴り響くトランペットがさらにサイケデリアを加速するTr.3"Looks Of A Killer"で、これがかなり凄いアルバムであることを確信。

そして面白いことに、こういったサイケガレージロックを鳴らしていたかと思えば、Tr.5では女の子が呟いているような声をサンプリングし、揺らめくギターと薄いベールのようなシンセサイザーの音色が、荒涼とした北欧の大地を連想させる、カリフォルニアバンドらしからぬインストナンバーも奏でていたりする。この澄んだ印象を持った曲が、続くTr.6"What My Friend Say"で飛び交う極太のベースと、吐き捨てるように歌うボーカルをより鮮烈にする役割を果たしている。

個人的に2003年のベスト3に入るぐらい気に入ったアルバム。今後一気に有名になるポテンシャルも秘めているように思う。warlocks、spacemen3、ジザメリ、mc5、stooges、brmcあたりが好きな人にお薦めです。



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