LITE/Phantasia

★★★☆

東京発の4人組による2nd。ドが付くほどに真面目で、それゆえに幅広い層の信頼を勝ち得そうなインストゥルメンタル・ロック。エンジニアにはtoeの美濃隆章が就き、結束感の強いバンドの音世界をよりクリアな描写で浮かび上がらせている、、、ような気がする。

攻撃的なギターの切り込みから始まる本作は、インスト・ロックの一つの模範像とも言えそう。技術・表現力ともに強く練り上げられた隙の無いアンサンブル。引き攣れ、軋み、激しくブツカリ合いながらしかし柔軟な展がりを見せるサウンドは、そのツカミどころをガッツリ押さえてる。

メロディ、リズム遊び、悶絶リフの各要素を完璧に織り込んだTr.1"Ef"、Tr.3"Infinite Mirror"、Tr.7"Ghost Dance"あたりは、この手のインストロック好きを確実に狂喜させる◎の完成度。叙情的に落としておいてアナタ、あないに畳み掛けられたらもう踊るしかありませんがなっ!他にもポストロック風な拡がりのある叙情世界を撒き散らすTr.4"Shinkai"にTr.10"Fade"、技巧を前面に打ち出したテクニカルな"Phantasia"での器楽の応酬まで、具体的には非のうちようが無いぐらい高い完成度を見せ付けている。あんまりにも良く出来ていて悔しいっ!☆一個下げてやるッ!てわけではないけれど、個人的にトータルでうぉおお〜!!!って巻き込んでくる昂ぶりまでは感じなかった。でも今週ライブ行きますぜ。

For All The Innocence

★★★★

フルアルバムとしては3年ぶりとなる3作目。合間のEPやLIVEなどで覗き見えた変化がガッチリと結集し、大成した感のある好アルバム。

前作においては、良くも悪くも表層的なベタさが作品の印象を決めていたエレピやシンセのフレージングは、ここに来て一気に強靭な深みを増した。ところどころにゲーム音楽っぽい軽さもあるにはあるが、むしろ往年のプログレに通じる深みやクラシカルな彩りを発散するソレが、空間の広がりやウェイトをグッと増幅させている。

そしてそのズシリとした土台があればこそ、上でテクニカルに踊るギターの刺激や、土台を揺るがすアグレッシヴなベースラインのテンションが効いてくる。肉感的に鳴らされるポリリズムに思わずゾクゾク。そしてBATTLESのような人力が踊る"Pirates And Parakeetes"みたいな楽曲もあるかと思えば、同時に初期頃の瑞々しいフィーリングを弾き出す"7day Cicada"のようなトラックがあるのもなんだか嬉しい。

またエンジニア的な面でも素晴らしく、カラフルな瑞々しさをハッキリと届けるクリアな音質はまさにプロの仕事。LIVEで聴くたびにどんどん良くなっていた新曲群から期待はしていたけど、それをずっと上回る完成度で応えてくれた好アルバム。彼らのセンスと地力をあらためて感じさせられた。

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