KUNEK/Flight Of The Flynns

★★★★

USオクラホマの6ピースによるデビューアルバム。胸中を焦がすメランコリックな歌と、ピアノを主体としながら情感豊かに伸張するインストゥルメンタルが、極めて高い次元で融合する全12曲/48分。

USバンドとは思えない、90年代英国ロックの香りが色濃く漂う作品だ。独特の陰りを孕んだ美しいメロディ/アコースティックギターのセンチメントとディストーションギターの奔流を掛け合わせるスタイルは(こう書くことが果してプラス要因となるのか不安だが)、Bends期のレディオヘッドを思わせるそれ。

美しいメロディラインの昂揚に加え、彼らのサウンドは並のギターロックバンドであればまず持ち得ないような、全編を貫く極めて柔らかでプログレッシヴな展開・構築力を併せもっている。時にエリオット・スミスを彷彿とさせる情感横溢するピアノの躍動と、底部にて蠕動するチェロのぬくみを巧みにより合わせながら、全体で大きなオーガニズムを形成する様は、ちょっとしたヒネクレ者さえ屈服させてしまう素晴らしくピュアな昂揚を放つ。

RadioheadやKeane、はたまたElectric Soft Paradeのようなバンドを愛するUKギターロック好きは勿論、普段は『ポスト』なものしか聴かないよという人にもオススメしたい、極めてストレートに胸を射抜く素敵なアルバム。

http://www.myspace.com/kunek