KULA SHAKER/K

★★★★☆

 96年リリースのデビューアルバムにして、90年代UKロックの名盤との誉れも高い一枚。とかく「インドへの偏愛」面が過剰に強調される作品だが、基盤を成す楽曲のクオリティー、演奏技術のレベルの高さは「ギターロックの完成型」と言っても差し支えないだろう。

 メロディアスに地を這うベースと、アンプ直結の高速ギターのカッティングが衝突し、渦中を抜群のメロディが疾走する"Hey,Dude"、この比類なき疾走感こそがこの作品の魅力だろう。サンスクリット語や神秘的なコーラスをふんだんに散りばめ、東洋の神秘的な雰囲気を上手く閉じ込めた"Govinda"や"Tattva"の特異な空気も素晴らしい。"Smart Dogs"、"Grateful When You're Dead"で露わにされる、正確無比なリフを叩きこみ、随所で熱くオーヴァードライブするギターワーク、分厚いグルーヴを生み出すバスラインとキーボードが淀みなく疾走する様には、正しく非の打ち所がない。

 「パーフェクト」
そんな形容が恐ろしいほどにピタリと当てはまる男、クリスピアン・ミルズ。多くのUKロックファンを虜にした才気溢れる一枚。

Peasants, Pigs & Astronauts

★★★★★

 99年リリースの2nd。このアルバムを最後にバンドは解散。しかしとんでもない置き土産ですよ、この作品は。ロックンロールの快楽をストレートに表現した前作で、既にして頂点を究めてしまったクーラ・シェーカー。次なる地点として彼らが向かったのは、インド音楽へのさらなる傾倒だった。

 インド文化との融合はもはや表層的なものに留まらず、スピリチュアルな面まで達している。結果、楽曲の深みや生み出されるグルーヴの分厚さは、もはや前作とは比べ物にならない(前作が良くない、という意味では決してない)。

 なんとも物悲しい空気を称える荒んだ音世界に、様々なインストゥルメンタルが流し込まれ、素晴らしいコーラスワークとともに一気に拡散するオープニングトラック"Great Hosannah"からして、その高揚感たるや尋常でない。全編に渡って貫かれる、大きなウネリをもったギターの響きには、Verveの1stと同じシューゲイザー的な要素も強く感じる。トータルクオリティの高さと比類なきオリジナリティを兼ね備えた、紛うことなき名盤。

Strangefolk

★★★☆

 99年リリースの2nd。このアルバムを最後にバンドは解散。しかしとんでもない置き土産ですよ、この作品は。ロックンロールの快楽をストレートに表現した前作で、既にして頂点を究めてしまったクーラ・シェーカー。次なる地点として彼らが向かったのは、インド音楽へのさらなる傾倒だった。

 インド文化との融合はもはや表層的なものに留まらず、スピリチュアルな面まで達している。結果、楽曲の深みや生み出されるグルーヴの分厚さは、もはや前作とは比べ物にならない(前作が良くない、という意味では決してない)。

 なんとも物悲しい空気を称える荒んだ音世界に、様々なインストゥルメンタルが流し込まれ、素晴らしいコーラスワークとともに一気に拡散するオープニングトラック"Great Hosannah"からして、その高揚感たるや尋常でない。全編に渡って貫かれる、大きなウネリをもったギターの響きには、Verveの1stと同じシューゲイザー的な要素も強く感じる。トータルクオリティの高さと比類なきオリジナリティを兼ね備えた、紛うことなき名盤。

Pilgrim's Progress

★★★★

再結成後第2作目となる4thアルバム。劣化した中年女性じみて悲惨だった前作とは対照的に、ナンだか物凄く好感触の本作。KULA SHAKER=インド(思想)だという既成概念を軽やかに脱ぎ去った、純粋に、純度の高いサイケデリアが随所に眩しい。

先行シングルでもあるオープニングトラック"Peter Pan R.I.P"や続く"Opheria"などでは、まだまだその夢想癖じみた思想のぬるま湯に浸かっているような感覚もあるが(悪い曲じゃないけど)、続くTr.3での"i've got the modern blues"のフレーズそのままに、イマという気流を捉えたバンドの伸びやかさが、希代のメロディ・メーカーであるクリスピアン・ミルズを再び羽ばたかせている。朝露のように煌くアコースティック・ギターで紡がれる"Ruby"も、往時にヒケをとらないグルーヴがうねり立つ"Figure It Out"や、新境地といってもいいフォークロア調のカラーが織り込まれた"All Dressed Up (And Ready To Fall In Love)"のようなトラックでも、全てに共通して感じられるのはその純粋な輝きで、長い変遷を辿ってきたバンドとは良い意味で思えない、妙な固定観念が払拭された心地良い開放感に惹き込まれる。そんな明度の高いサウンドには結果的に、クリスピアン・ミルズの深い内面やKULA SHAKERというバンドのカラーが滲み出し、今のこのバンドにしか出しえないオリジナルな音を鳴らしているように思う。バンド至上最高の傑作だとは言わないが、かつてこのバンドが好きだった人間を同じぐらい昂揚させるだけの魅力を備えた、本当の意味での復活作だと思う。

http://www.myspace.com/kshaker