KORPIKLAANI/Spirit Of The Forest

★★★★

03年リリース。フィンランドのトラッド・メタルバンドによるデビュー盤。もとは彼女に「変なPV見つけたー」ってYoutube見せてもらったことで知りましたが、このPVが火付け役となり「森メタル」の形容と共に巷ではわりと人気のあるバンドらしい。

もう何と言うか、ヘヴィメタ+民族音楽としか表現しようのないサウンド。キッツク歪められたギターが刻むメタリックなリフ/リズムの単純快楽空間へ、土着的な旋律を絡める民族器楽が絡みつき、なぜか妙に日本人にも非常に親和性の高い音物語をガナリ立てていく。

というか、一発目の"Wooden Pints"でフィドル(ヴァイオリン)の旋律が猛然と流れ出した瞬間、笑う。往年のヘヴィ・メタルの様式を踏襲し、そこへ非常に明快な民族臭を付加していくスタイルは、変にヨレたところが無い分、非常に明快で気持ち良い。野郎声でアジるVo.ヨンネの声に乗せて、それこそドンチャカした祭事に似た狂騒と共に、一気に駆け抜け去っていく全40分強の笑劇。企画物的な音の賞味期限はあるやもしれませんが、それにしてもこの音の訴求性は魅力的です。9月には来日するらしく、出来れば行って見て踊りたい。

Wooden Pints動画
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Tervaskanto

★★★☆

フィンランドの6人組メタルバンド/コルピクラーニの07年リリース4th。およそ年に一枚のペースでアルバムを出しているこの人ら。

1stから間を飛ばしてこの4枚目を聴いたけど、デビュー時でほとんど完璧に確立されていたその音スタイルは、ほぼ不変。東欧らへんの土着的な民族楽+メタルなミュージック。全42分の今作。わりと緩急の変化に富んでいたデビュー盤と比べると、今作ではラストの"Nordic Feast"を除き、徹底して早い曲調で攻め立ててくるところが印象的。

ギターのもろにメタル!なリフは変わらずも、それはもっぱらバッキング・ギターとして、サウンドのリズム部分を担う要素が強くなっている。変わってより一層強烈に前面に押し出されたのが、エスニックな器楽が織り成す土着的なメロディ・フレーズ。主パートを一手に任された笛やらフィドルやらなんやらが疾風のように吹き流れ、「祭メタル」の名に相応しい賑やかな狂騒を巻き立てていく。ガヤガヤとしたどんちゃん騒ぎの中に、言い知れぬ郷愁を孕んだメロディと、小気味よく刻まれる鋼鉄のリズム&グルーヴ。民族語で歌うアンネの野卑なヴォーカルもあいまって、メタリック・ポルカといった形容がポっと浮かぶサウンドは、ときおり変態性を抑えたSystem Of A Downのようにも響きます。深みのあるクセのようなものは1枚目のほうが強いけど、こちらにはライブでより強烈な一瞬を演出しそうな、ノリの良い楽曲が多く含まれています。

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Ukon Wacka

★★★★

きたる5月にはフィンランドフェス&単独での来日講演が決まっている北欧産トラッド/フォーク・メタルの最高峰、コルピクラーニの最新作。

コルピの神様、、、って付ける意味あんのか!?という邦題は不明だが、サウンドからはかなりハッキリ、その狙うところが観てとれる。これまでになく『メタル』が主眼だ、って言うとややこしいが、ギンギラギンに武装した鋼鉄質のギター・リフ、あるいはバッキバキにキメて驀進するリズム隊など、これぞ『メタル』と言うべきヒビきが随所からふんだんに聴こえてくる。

さておき、コルピといえばヒッタヴァイネン!と思ってるのは私だけではないだろうが、しかし今作の主役はボーカルのヨンネさん。ものっそ表現力の増したダミ声が、冒頭から激パワフルに空間を踏み鳴らしておりまする。その高圧力な押し出しを核にして、周りをガッチリ『メタル』なパーツが固め、さらに背後からヒッタヴァネン御大らが繰り出す独創的なイロが攻めてくるという仕様。基本の路線は変わらずながら、その路線の中できっちりイロ分けしてきておる、というナイスな作品。

Myspace
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