THE KILLERS/Hot Fuss

★★★☆

 「アメリカ版Franz Ferdinand」と言ってしまうと少し乱暴に過ぎるかもしれないけど、このLas Vegas出身の4人組バンドのデビューアルバムを聴いているとそんなフレーズが頭に浮かんできた。Strokesのジュリアン・カサブランカやInterpolのポール・バンクス、そして先に挙げたFranz Ferdinandのアレックスと同じく、ダンディーな声が印象的なボーカル、Post Punk的なギクシャクしたリズムを刻むドラムスと豊かなフレーズを弾き出すベースラインなどなど、他バンドとの近似が見え隠れする作品でもある。

 しかしながらこのバンド、「今っぽく」あることを全く厭わない点で、先に挙げたバンドとは大きく異なっているようにも思える。相当にキャッチ-なメロでヨーロッパを席巻中のFranz Ferdinandにしても、Post Punkバンド特有のアーキスティックな雰囲気はあったわけだけど、このKillersに関しては本当に全くそういったものがない。この辺は好き嫌いの範疇になるけれど、とにかくどの曲もUSラジオでのヘヴィロ対象になりそうなぐらいモダナイズされたメロで構成され、リズム隊の織り成すグルーヴや随所で大仰に雪崩れ込んでくるシンセの波が、80sっぽいフレーバーを醸し出しながらも全体的にものすごく現代的に響くサウンド。

 もろにUSモダンロックなTr.2、"Mr. Brightside"には一瞬引きかけたものの、アリーナを埋め尽くすオーディエンスが大合唱する光景が目に浮かぶような"All These Things That I've Done"や、シンセのゆったりとしたウネリの中をフックの効いたメロが加速していく"Believe Me Natalie"など、結構好きな感じではあります。セールス的にいったらFranz Ferdinandよりも大きなバンドになるんではないでしょうか、アメリカでは。