JIMMY SMITH/Root Down

★★★★

アメリカのジャズ・オルガン奏者/Jimmy Smithの、1972年録音のライブ盤。ジャズ・シーンにおいてハモンドオルガンの地位を確立したという、偉大な先駆者による名演。

とにかくファンキー。ノリノリである。ノリが良ければ全て良しってわけではないが、無条件で神経を即応させるアッパーなサウンドはベラボウに格好良い。火が付きそうなスリリングさっちゅうよりは、分かり良いライトな旋法グルーヴで煽り続けるといった感じが強く、無難と言えば無難。普遍的と言えば確かにそうで、この盤を聴く限りでは、この人なりの強烈な個性めいたアクの強さは感じないんだが、逆にそれがストレートなノリの良さに繋がってるように思う。

でもって、御大を盛り立てる共演陣がまた素晴らしい。ワウ・ギターによる刺激的なカッティング、音の支柱となりまた一方でハイハットの調べで鮮やかなアクセントを与えるドラミング、堅実だが強い存在感で印象づけるグルーヴィなベース・プレイなど、ジミー・スミスの闊達なオルガン・プレイを活かす素晴らしきサイド陣営。

初っ端から飛ばしまくる"Sagg Shootin' His Arrow"、メロウな揺らぎで空間を色づけていくスローテンポなTr.2"For Everyone Under The Sun"とTr.3"After Hours"、そしてBeastie Boysもカヴァーしたファンキー・グルーヴチューン"Root Down"へ。沸き立つグルーヴと、刻まれるアーシーな音の破片がタマラナクキモチイイ。

ついでに言うとこのライブ盤、場のパッケージングもとても素晴らしい。観客のざわめきやグラスの触れる音なんかが醸す臨場感もさることながら、あり得んぐらい素晴らしいタイミングで入る合いの手や、異常にグルーヴィな手拍子が、全体のノリを1割増しぐらいで押し上げてるように感じさせる。並みの日本人にはとても無理そうな、持って生まれた黒いリズム感であります。

http://www.myspace.com/jimmysmithfan