JAMIE SAFT/Black Shabbis

★★★☆

NY出身のマルチ奏者/Jamie Saftによる09年作。John ZornやMerzbowとの競作経験もあるらしく、広大な闇色空間を舞台に変化球的な獰猛さを炸裂させて魅せる御人。チープさが妙に印象的なジャケットがステキな今作で繰り広げられるのは「Jewish Heavy Metal」と銘打たれる暗黒模様の様式美。

速く、遅く、重く、激しく垂れ流される暗黒の轟音と、地底から這い上がる呻きのような歪んだ歌のコラボレーション。ただ、わし、こういうのあんまり得意でないのねー。KTLやBORISのノイズが理解できないのと同様、此処でもその多くでずりーんずりーんと打ち鳴らされる「兇悪」で「邪悪」な音塊が放つ異形っぷりに、始めこそ「オッ!」と惹き込まれてはみたものの、それが繰り返されるに従って興奮は引き潮に。結構な時間を要して「意味深」な世界が浮かび上がってはくるものの、そこから強烈な「何か」を顕現させるでもなく消えていく暗黒模様は、正直その辺のDOOM /THRASH METALバンドと大差ない世界しか視せてくれない。Jewishを謳うわりにはそれっぽいフレーズが印象的に出てくるわけでもなく、何かもう少し、分かり易いアッパーカットがあればなぁと感じた作品デシタ。

http://www.myspace.com/blackshabbis