IRON MAIDEN/Live After Death

★★★★

今頃になって初めて聴いたIron Maiden。今作は84〜85年にかけて行われた5thアルバム/Powerslaveリリース後のワールドツアーのうち、カリフォルニア州ロングビーチ・アリーナでの公演を収めたライブ盤。

5th/4thを中心に、1st〜3rdのナンバーを織り込んだ構成。どのアルバムを聴いてもほとんど同じように聴こえるAC/DCとは違って(笑)アルバム毎で楽曲のカラーがかなり異なっているのが判って面白い。

個人的な好みを言うと、大仰なドラマティック性が一気に増幅する4th/5thの楽曲はちと苦手。ブルース・ディッキンソンの高い歌唱力が逆にアダとなる感じで、サビでオペラティックにメロを歌い上げられちゃったりすると、思わずオエェっと拒絶反応。調子が悪いのか、端々で適当に唄ってる感じのするヴォーカルだけど、いい加減に流す程度がちょうどいい濃さかもしれん。同じ5th/4thでも、スローテンポでメロメロな叙情性を前面に打ち出す"Revelations"や、誇大なスケールで全体を包む"Rime of the Anicent Mariner"なんかは、濃厚なメロ/リフへと素直に溺れることが出来て気持ち良い。

比べると1stのナンバーは、直接的な部分を強く感じる。速く鋭く繰り出されるリフの嵐は、殺傷性高めでノリも良い。展開の面白味に欠ける部分も感じる一方で、"オペラ座の怪人"のように大胆なリズム・チェンジを繰り返すプログレッシブな楽曲もあり、ブルース風味な遊びのある貫禄のロックナンバー"Running Free"(これ最高!)もあったりと、さすがの器のデカさを見せつけるクオリティ高の楽曲が多数。

で、その1stでのストレートさに、適度な深みと重みが加わった2ndからの"Wrathchild"が、個人的にはドツボ。HR/HMの様式美を斜めから見て拡大再生産したような、3rd期のクセありな楽曲も(スティーヴ・ハリスの動き回るベースラインともども)刺激大だが、好みとしては完全に2nd(と1st)。今更どっから入っていけばいいのか分からなかった自分にとって、ちょうど良い指針になった一枚でありました。