N.Y拠点の4人組による1st。Joy Divisionの影が見え隠れする、冷たくメランコリーな空間とミニマリスティックなリズムラインに、すわInterpolフォロワーか！と早合点、してはイケナイ。次第に露わになるユニークな音は、実は相当に刺激的。
オープニングトラック"Atlantic"で、闇に明滅し反復するギター/揺れ動くキーボードの波が創り出す無機的美学の空間は、続くTr.2"Necropolis"でさらに深度を増す。Devoの音楽にも通ずる、プレーヤーの存在を徹底的に抹消して鳴り渡る音は非常に精緻、かつ物凄くクール。それでいて異常にキャッチーなキーボードのフレーズが、冷たいメランコリー空間に雨アラレと降り注ぐ。Tr.3"Farewell
To Love"でアップテンポに流れ去る鍵盤主体のメロディは、妙に和的なモノを感じさせるファニーな人工グルーヴ。頭から離れぬキャッチーなメロディと、徹底して感情を廃した音響のコントラストがかなり面白い。終盤にかけて冷たい闇夜の侵食度数はさらに上昇、殺傷性を高めた不穏なギターの鋭利な響きが炸裂する"hotels"にて幕を引く。
例えばInterpolが、有機的な存在(人間)が創造する無機的な美を誇るバンドだとすれば、このHotelsというバンドは、無機のモノが人間を真似、有機的な空間を造り上げていくかのように耳に響く。背後に全く人の存在を感じさせぬような、透徹してクールなメランコリー空間で繰り広げられる刺激的なアンサンブル。ユニークな世界を高次元にて展開する、素晴らしいアルバム。
www.myspace.com/hotels