「UKギターロックの救世主!!!」と大仰に銘打って送り出された、イギリスの4人組バンド、Havenのデビューアルバム。Travisと同じような叙情系のサウンドを鳴らしながらも、Havenの音がそれとは異なって耳に響くのは、やはりベースの仕業。ベースの音が太い！そしてその太いベースがうねうねうねうねと、なんとも気持ちの良い骨太なグルーヴを生み出してるんですね。デビューまでに各地のライブハウスで数多くの演奏をこなしてきたというだけあって、美メロだけを売りにするんじゃなくて、その美メロを聴かせるためにまずは聴き手を引き込む、そういった力強さを感じさせるサウンドです。こういった骨格の太いグルーヴ感って、そもそもUKバンドの専売特許みたいなもんだったと思うんですが、内省型ロックバンドが次々と出てきてたシーンにおいて、Havenのサウンドはなんだかすごく新鮮に聞こえました。特に変わったことはやってないし、全体的に同じようなトーンが続く曲調ですが、一聴しただけで引き込まれるような綺麗なメロディーと存在感のあるボーカル、そしてそれをしっかりと聴かせる演奏力を持ったこのバンドは、すごく好きです。ちなみにプロデュースはjohhny marr。
Havenの2年ぶりとなる2ndアルバム。音の放つニュアンスが少しUSのバンドっぽくなったな、と感じました。前作では厚い雲の隙間から差し込む光を感じさせた「陽」の部分は、今作ではモダンロックバンドのエッセンスを上手く取り入れたようなスコーンと抜けるように澄んだ青空を連想させるものへ、またUKバンドに特有の繊細さ、憂いといったものを多分に感じさせた「陰」の部分も、今作ではダイナミックながらも背後に破滅的な闇を感じさせる空気を孕んだ表現、例えばNirvanaの曲が放つ雰囲気（あくまでも雰囲気だけですが）へと変化したように思いました。全体的には明るい曲調が目立つ内容。
それにしてもゲイリーの澄んだ、それでいて力強い声は前作同様、本当に素晴らしい。良質のメロディーはもちろんのこと、トレモロとFuzzギターが炸裂するTr.7 "What Love Is"など、アレンジ面でも大きくパワーアップした感があります。まぁ正直な気持ちを言えば、うねるベースが分厚いグルーヴを生み出していた、伝統的UKギターロックサウンドの1st路線にも少し名残惜しいものを感じてしまいますが。