HARBIE HANCOCK/Sunlight

★★★★

いやーん、このジャケ写はヒドイ。そのせいで(笑)聴くのが後回しになってたハンコックの78年作。ヴォコーダー仕様なハンコックの歌声が大々的に取り込まれた、ちょいメロウでポップでダンサンブルな一枚。73年の『Headhunters』以降のバリバリファンク路線と比較すると、この作品はかなり小洒落たグルーヴ感。気持ち良く飛び跳ね浮遊するリズムがふんだんに満ち溢れ、そこへ先のハンコックの声が織り込まれ流れていく展開。今の時代にこれを遡って聴いている私のような人間からすると、このディスコティックなナンバーは「あぁ、これってなんかダフトパンク、、、」なんて不届きなことを思ってしまう。とりあえず、ながら聴きのBGMとしては良い感じ。

なんだが、この多大なるリラックス感は己が求めるところのアノ鬼のようなグルーヴとはかなりズレており、正直肩透かしを喰らったかのよう、、、しかし、しかぁし!しかしですよ、Tr.5の"Good Question"だけ、全く気色が違うではないか。Tony Williams(ds)とJaco Pastorius(b)参加によるこのナンバー。凄すぎ。カリビアーンなスティールの音色の打撃に始まるのだが、すぐさま一転して空気が緊張。点で線を描くようなJacoの強烈なベースラインと、T.Williamsの激しいリズムの応酬。そのスリリングな掛け合いの上で、Hancockによるジャズ的でありながら独創的なフレーズが駆け回るという、ほんと異常なまでに緊迫した激しい音のやり取りが行われてる。それはさながら、リスニングの始終に渡って身体が硬直してしまうような、強烈な強烈な磁場が渦巻いてる感じ。個人的にはこれが聴けただけで非常に満足。というかこのアルバムだとこの曲しか聴いてない。それにしても、やっぱりこのジャケはアカンと思うな。