FUN./Some Nights

★★★★☆

ROCKな破壊力よりも、POPな創造に心踊ることが多いここ最近。名前からしてカラフルな弾みっぷりを予感させるこちらのバンドは、ex.THE FLATのポップ・マスター/Nate Ruess率いる3ピース。

まるでミュージカルのように鮮やかに、軽やかに転回する感情という名のエレメント。湧き上がるコーラスが「日常」の彩度を一気に増幅させる"intro"に導かれ、続くタイトルトラックでたぶんかなりの人がぶっ飛ばされるんじゃなかろうか。ギターが鳴き、ブラスが炸裂、ハンドクラップがビートを刻み、量感豊かなメロディが溢れる賑やかで切ないチューンに耳も心も奪われる。そのポップな彩色の巧みはもはや職人的で、抜群のフックをかます色とりどりにめろんめろんにされるのね。所々で立ち昇る「プログレッシヴ」なギター・フレーズが何気に印象的で (YESばりのポップなメロディの飛翔が素晴らしい"Carry On"みたいな楽曲もアリ)、それもあってか全体がアルバムタイトルに示唆されるストーリー下に結びついて聴こえる。ヴォコーダー混じりの熱唱が素晴らしい7分間のバラード"Stars"にも泣かされる。遮二無二なにかをぶっ壊さなくったって、日常ってのはこんなにエキサイティングな彩度に溢れてる、ってなことに気づかせてくれる良盤。

ちなみにこの2ndアルバムは、R&Bシンガー/Janelle Monaeをフィーチャーした"We Are Young"が全米シングルチャート1位を獲得するなど、向こうではセールス的にもなかなか好調の様子。

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