英国のブルース・ロックバンド/Freeによる、72年リリースの3rdアルバム。メンバーは↓の4名。
ポール・ロジャース(Vocal)
ポール・コゾフ(Guitar)
アンディ・フレイザー(Bass, Key)
サイモン・カーク(Drums)
本作製作時におけるメンバーの平均年齢は20歳前後。地味だっちゅうわけではないが、かなり抑制の効いたサウンドだとは思う。同時代のハードロック・バンドの、さながら巨大な壁を構築していくようなそれと比べると、ともすれば「スッカスカやん!」と言われてしまいそうな隙のあるサウンド。しかしその隙間に味がある。熱がある。
音の全容は非常にブルージー。スローな楽曲になるほどその色彩は濃い。それでいて、鳴らされる音自体はとても乾いた、枯れた質感で響き、この辺の感触が「ブルースの模倣にとどまらないFreeの独自色」と言われるところなのかもしれない。
瞬間燃焼的に燃え上がる場面はほとんど無いが、燠火のように芯から熱を放つアンサンブル。正直、ポール・ロジャースのヴォーカルやポール・コゾフのギタープレイには、巷で言われるほどの凄味を感じなかったんだけど、アンディ・フレイザーのベースは確かに特異で面白い。フレーズそのものは非常にシンプルでありながら、全体においてそれが非常に強く印象に残る(要するに目立つ。場合によっては悪目立ちか?。笑)弾き方で惹きつける。"Mr.big"での奔放なプレイなんて、かなり高インパクト。
これから!っちゅう時にフェード・アウトしてしまう楽曲があったり、本作での代表曲とされている"All
Right Now"が逆に浮いて感じられたり、といったマイナスポイントもあるんだけど、全体的には独特な熱を持つ良いアルバムだと思う。