FOXHOLE/We The Wintering Tree

★★★☆

 ケンタッキー州の5人組ポストロックバンド、Foxholeの1st。良質なメランコリズムを背景に、それを様々な先達からの要素を感じさせる音因子でデコレートしたような楽曲は、一種独特の雰囲気を醸し出している。

 先にレビューしたRedjetsonにも通じる、深い影を落とすディレイギターが空間にゆっくりと染み渡るオープニングトラックから一転、続く"The End Of Dying"では躍動するリズム隊と硬質なギターワークが姿を現す。間隙を縫って鳴り渡るブラスセクションの響きはGY!BEのそれに非常に近く、聴き手の脳内に広大な荒野を描き出す。荒々しい響きのギターカッティングなどはSlintに通じるものも感じさせるが、一方でTr.4"Spectacle"で聴かれる陰鬱なアルペジオと幽玄な歌などは、その対極にある世界を創りだしていたりして面白い。

 ただ、散逸した印象があるわけでもないのだけど、全体を通じてどこか吸引力に欠けるように感じてしまうのが正直なところ。うねるベースラインを基に細かな小休止や転調を挟み込んだ曲展開は、適度な肉厚感と躍動感を兼ねており申し分ないだけに、あと一手何か核となるものを欲してしまう。それがエモーションなのかメロディの美しさなのか、はたまたノイズの凶暴性なのかは判然としないけれど、、、

http://www.foxhole.info/