ELUVIUM/Copia

★★★☆

USテネシー州出身のMatthew Cooperによるプロジェクト、Eluviumの5thアルバム。霧めいた数層のシンセサイザーとピアノストリングスを主体に、静かに降り積もる音により創造されていく内省的な空間。

センセーショナルに主張する音の破片や、劇的な展開により花咲く瞬間は全く無い。ノスタルジックに、時に宗教的な響きをもって蕩揺たうシンセのヴェール/細やかなサンプリング・ノイズの霧中に身を投げ漂うような、不思議な浮遊感と共に流れていく音の景色。

ために、多くにおいて極めて茫洋とした印象を抱かせる楽曲群には、個人的には多少の物足りなさを覚えた。極めて感傷的なピアノの旋律を前面に押し出したTr.4"Prelude For Time Feelers"、Tr.6"Radio Ballet"、Tr.9"Reciting The Airships"のような分かり易い楽曲にばかり、どうしても好みのアンテナが向いてしまう。ただ、全体において獏としているからこそこうした曲が光るのであり、こうした即効性のある(しかし小粒な)昂揚を持った楽曲ばかりが嵌め込まれたアルバムであったなら、それはそれで面白くもなんとも無いだろうが、、、各所で高い評価を受けている3rdアルバムについては未聴なので、また時間を置いて聴いてみようかと。

www.myspace.com/eluviumtaken