DUNGEN/Ta Det Lugnt

★★★★☆

 Fromスウェ−デン、Dungenの3rdアルバム。バンド形態ではあるが、ボーカル兼マルチプレイヤーのGustav Ejstes以外のメンバーは特に固定されたものではないらしい。歌詞は全て母国語で歌われている。

 まず結論からいうと非常に個性的、かつ高いクオリティーを持った素晴らしいアルバムである。刺激的なFuzzギターのリフから乾いた響きのアコギ、lo-fiなピアノに加えてレトロな質感のシンセがブレンドし、転げまわるようなドラミングと躍動するベースラインの上を錯綜していく。序盤2曲では、キャッチ−なメロディがVerse-Chorus-Verseのアプローチを取りながら展開(しかしながらリズムセクションや音像空間は既に個性的な側面を覗かせる)。続くTr.3"Festival"では、伸張するアコギの音色が、空間に満ち満ちるように増幅するエモーショナルなピアノの響きに飲み込まれていく。

 で、このアルバムが凄いのは実はここから。Tr.4の前半部で同郷のKentを思わせる感傷的な歌が展開されたかと思うと、後半3分で飛び出すのは、ジミヘン以外の何物でもないようなギター炸裂・ドラムス乱打の超絶インプロビゼーション。その流れで突入するタイトルトラックのTr.5の後半部からTr.7にかけて展開されるのは、ピアノなどの生楽器を基調とした、極彩色のインストナンバー。あちらの世界が垣間見えます。そしてTr.8及びTr.9では再び悶絶もののバンドアンサンブルが登場。不明瞭な輪郭を浮かびあがらせるベースと、対照的に歯切れよく響き渡るピアノライン、破片を飛び散らせながら激しく打ち鳴らされるハイハットと、揺れ動くシンセ、そして金切り声をあげながら全てを飲み込むフィードバックノイズによりアルバムは幕を閉じる。

 色濃く漂う60sサイケロックのフレーバーに、浮遊するエレクトロニカ音が生み出すメロウな空間、スウェディッシュバンド特有の透きとおった叙情性に加わる生々しいバンドアンサンブル、、、と自分で書いていてもよく分からなくなるぐらい、バンドの持つ音の因子は無限大。この世界観は唯一無比。独創的かつ良質な素晴らしい作品。
http://www.subliminalsounds.se/DOK/dungen2.html