DEVENDRA BANHART/Rejoicing In The Hands

★★★★

 USのシンガーソングライター、Devendra Banhartの2nd。一本のアコギと隠し味的に用いられるストリングスにより紡ぎ出されるのは、柔らかさと同時に退廃的な雰囲気を纏った、サイケデリックな音空間。

 ホントにシンプルな歌ものでありながら、不思議なぐらい強烈な中毒性をもったアルバム。陽だまりを思わせるアコギの音色は、独特の磁場を放つこの人の声(容姿もさながらヒッピーのようであるが)と合わさった瞬間に、一気にあちら側の世界が垣間見えるようなドラッギ−な響きへと変化する。どこか東洋的な美しさも感じさせる、桃源郷的な音世界が素晴らしい作品。ベストトラックはTr.15の"Insect Eyes"。気だるい感じで歌われる序盤から一転、終盤で転調しスリリングでねじれた演奏が飛び出す展開に、この人の音の魅力を濃縮して感じることができる。普段SSWものはあまり聴かないんですが、このアルバムはすごく良かった。

http://www.younggodrecords.com/Artists/DevendraBanhart/