THE DEAR HUNTER/Act V:Life And Death

★★★★

同じくUSのDeerhunterと混同しそうだがコチラはBoston発のCasey Crescenzo率いるバンド/The Dear Hunterのタイトルどおりとなる3作目。当初からアルバム6枚を通じて「ある少年の誕生〜死を巡る物語」として展開するという、ヒジョーに「アタマのデカい」コンセプトに基づく作品なのだが、中身のほうもそのお題目に違わず「プログレッシヴ」で「ごった煮」の濃度を持ったポストハードコアサウンドがみっしり。

最近だとClosure In Moscowもそうだったんだが、往々にしてこの「MARS VOLTA的な」系譜で語られるタイプのサウンドは、妙に整った型にハマって響く「ハイブリッド」な感触にアテられてしまって中途で脱落してまうことがほとんどなんだが、このDear Hunterの楽曲についてはその詰め込み加減の「クドさ」がトータルコンセプトの「大仰さ」とウマく中和したためか、のっけからラストまでギリギリのラインで飛翔可能な、ある意味とってもスリリングでクセになる内容だなぁという感想に帰着。つまるところはかなり良い作品だと思う。

アタマっからゴシックなコーラスをブチ撒けるわKEANEばりの蒼さでメロるわ過激に明確な輪郭のビート/旋律で煽るわと大騒ぎのドラマティックが繰り広げられるわけだが、その「世界観に圧倒・・・」されることはないが、ニヤニヤしながらもしっかりと胸がトキめいてしまう劇エモな空間に、ヒネた考えもどこへやらと惹きつけられる。こんなのをポイポイっと創ってしまうCaseyさんってば結構な才人かもしれん。オススメ。

http://www.myspace.com/thedearhunter