DATSUNS/ST

★★★☆

ニュージーランドの4人組ガレージロックバンド、The Datsunsのデビューアルバム。ジャケットからして70年代を思わせるような、およそ今っぽさが感じられない白黒写真だったりするわけですが、音のほうもツェッペリンの強靭なグルーヴ感やブラック・サバスの骨太なリフを継承したような、余計な飾りっ気は一切取っ払った分厚いロックサウンドをかき鳴らしてます。他のガレージロックバンドと比べて格段に重いギターリフとシャウトしまくるボーカルがカッコ良いです。

さてさて、へヴィーロックというとなんとなく古臭いイメージを持ってしまいがちですが、このバンドはそういった過去の先人達のサウンドをうまく自分たち流に取り込んでいて、良い意味で今っぽさを併せ持った音になっているので、意外にも古臭い感じはしないですね。それと、こういったサウンドの場合どうしても似たような曲が多くなりがちで、粒ぞろいの曲が並んでいながら聴き終わった後にはあまり残るものがないというパターンにも陥りがちだと思うんですが、ライブだとサビの部分で「like a motherfucker from hell!!!」って一緒に叫べそうなTr.2や、縦ノリの快感を究めたAC/DCに勝るとも劣らないようなキャッチーさを持ったTr.3"Lady"、Tr.4"Harmonic Generator"、そして緩急をうまくつけた極厚のグルーヴ感が炸裂するTr.10"Freeze Sucker"など、聴いた後かなり頭に残る強烈な曲群も兼ね備えてます。分厚いロックンロールで吹っ飛ばされたいって方にお薦め。

Outta Sight/Outta Mind

★★★

NZの4人組、Datsunsの2nd。デビューアルバムではゴリゴリ押してくるハードなリフが当時のガレージバンドの中で特異さを放っていたが、それでもまだ「ガレージ」の枠で括ることが可能なサウンドであった。プロデュースにジョン・ポール・ジョーンズを迎えた今作は、前作よりさらに70sハードロックへの歩み寄りを見せ、よりキャッチ-さを増した王道メロとともに骨太なグルーヴを生み出している。

 前作で感じたアクの強さはかなり成りを潜め、耳馴染みの良いメロが印象に残る作品だ。オープニングの"Blacken My Thumb"を始め、色香のあるボーカルとブイブイと唸りをあげるハードリフがVerse/Chorus/Verseと展開し、さらにアグレッシブに攻めるギターソロが登場するといったまさしく王道HRの曲群は嫌いではないし、むしろ好きな音。しかしながら特にこれといった目新しさが無いのも事実。AC/DCではなくDatsunsを聴きたい!と思わせるだけのものは今のところない。終曲"I Got No Words"で聴ける、悶絶してしまいそうにカッコ良いギターソロを始め、演奏技術やバンドが一体となって生み出すグルーヴ感は申し分ないだけに、そのオリジナリティの無さがことさら際立って気になってしまった作品。



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