CIRCLE/Hollywood

★★★★☆

91年の結成以降、メンバーチェンジを重ねながら20作以上のアルバム(EP等も含めれば40作を超えるらしい!)を世に送りだしているフィンランド産experimentalバンドによる08年作。リズムが走り、湧き上がるエレクトロニカが絡みつく冒頭で完全魅了。これはむっちゃ好きだ。思わず、08年のBEST選を書き換えたくなったほどの快作です。

クラウトロック的リズム・アプローチをベースに、prog/jazz/metal/psych/noise/等々のエッセンスを混ぜ込み独創的な空間を打ち建てる。そのテクニカルでアーティスティックな側面もさることながら、なにより今作はその即効性こそが素晴らしい!夢色世界が一挙広がるオープナー"Connection"は、精緻なポリリズムを幻想的な彩色/唄がサッと包み込む。そこへダークで気怠るいフレーズがじわり染み込んでくるTr.2"Mercy And Tuesday"(この楽曲も電子音の狂った鳴り様がヤヴァイ!)、さらにアヴァンに尖った音像の彼方、オマーばりのフリーキーなギターソロが炸裂するTr.3"Earthworm"、それに止まらずMOTERHEADやMC5系譜の爆裂ストレートをキレ味鋭く調理してみせるTr.4"Sacrifice"へと連なる前半部のアグレッシヴな展開に、息つく間もなく呑まれまくる。

アルバムは、90DAYMENばりのダーク・ゴシックなフレーズを滴り落とす"Spam Folder"でガラリ様相をチェンジ。典雅な旋律が舞うキワモノな唄モノTr.6"Hard To Realize"、NEU!やCANからの軌跡を着実に辿る長尺トラック"Mad Man"では、沸き立つ妖しい昂揚感が異界を拓く。そしてラスト"Suddenly"、これまた11分超のナンバーが、ヒンヤリとしてざらついた月の裏側を感じさせる、ピンクフロイドばりのサイケデリアを放出。この曲もそうだが、今作はその大部分でヴォーカルをとるBruce Duff(Jesters Of Destiny)の存在が決定的。どちらかというとドロドロとした奇っ怪な印象が強いバンドなんだが、今回前面に出てきた唄の効果か、ストレンジなテイストと正攻法の昂揚感の両面がそれぞれ強調されて聴こえた。かなり理想的なバランスです。というわけで今作、広くオススメの出来る快作になっとりますので是非どうぞ。

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