CHAPTERHOUSE/Whirlpool

★★★★☆

90年代初頭「シューゲイザー」ムーヴメント期における名盤の1つに数えられながら、長らく世界的に廃盤となっていた英レディングの5人組・Chapterhouseの1stが再発。UK盤オリジナルの9曲に、『Freefall EP』から3曲、『Sunburst EP』から2曲、『Pearl EP 』から2曲のトラックを追加した全16曲72分。

リヴァーヴの霧の中を駆け抜け、旋回し、ツイストする3本のギター。類稀な疾走感と、白昼夢の如き音の混濁が余りにも心地よいTr.1"Breather"により幕開け。煌びやかなエレクトロニカが降り注ぎ、ダンサンブルなビートが行進、胸を甘く締めつける珠玉のメロディとともに上昇志向のセンチメンタリズムを昂進させるTr.2"Pearl"へと続く流れからして、異様にクオリティが高い。しかし何と言っても素晴らしいのがTr.8"If You Want Me"。明滅するクリアギター/チャイム音を背景に、純白の空間でセンチメンタリズムを囁く序盤部から、一気に噴出するファズギターとともに全てが渦巻き(Whirlpool)、脳内を攪拌するこの楽曲の昂揚感たるや凄まじい。

RIDEの蒼さ・Slowdiveの儚さ・MVBの狂的な歪み、その全てを内包しながら鳴り渡るChapterhouseの楽曲群。その曲作りのセンスは、それらのバンドに引けを取らないとらないどころか、頭1つ抜きん出ているとさえ言えそう。シューゲイザーというジャンルに括られずに、多くの人に聴かれるべき名盤。