CAYTO/Your Atoms Are Laughing

★★★★

 スコットランドの4人組、Caytoのデビューアルバム。全7曲30分弱とコンパクトながら、久々に度肝を抜かれた作品。

 Elliot Smithを思わせる軽快なピアノストリングスにエッジの効いたギターが絡んだかと思えば、中盤でいきなり転調、へヴィロックばりのリフが轟き、雄大に歌いあげるボーカルは突如シャウトをかましたりと、インパクト十分なオープニング"C'mere"。続く"Dirge(U)"は、ピンと張りつめた夜気のもと、一人夜空を見上げているような物悲しさを感じさせる美しいインストナンバー。これはまさしく同郷のMogwaiの音から感じるものと同じである。さらにTr.3では柔らかな質感のディレイギターのベールに再び大胆なピアノストリングスが加わり、ボーカルはなんとラップ。もうさすがに引き出しは無いだろうと思ったらTr.4"Archimedes"はデスメタルだったりと、その音のレンジの広さに心底驚かされる。

 あまり好ましくない表現かもしれないが、どうしても「OK期のRadiohead」を引き合いに出したくなるアルバムだ。↑で書かなかったTr.6"Me Is What You Need"、Tr.7"God Is Love"における完璧なメロディと予測不可能な曲構成が融合した様はまさにその最たるもの(この2曲はホントに良い)。しかもこのバンドの場合、Radioheadを模倣しようとしたのではなく、自分達の感性の赴くままに作った作品がレディへのOK〜と同じ雰囲気を纏ってしまった、そんな感じのするところが恐ろしい。言葉では伝わらない部分も多いと思うので、是非ご一聴を(アルバム全体を短くまとめたサンプル音源があります)。
http://www.cayto.com/downloads.html