THE BEAT UP/Black Rays Defence

★★★☆

 The Beatingsとして1stシングルをリリースしてから約2年、バンド名の変更を経てようやくリリースされたデビューアルバム。今作のプロデュースを手掛けたのはかのケヴィン・シールズ卿とあって、全編に渡って刺激的なギターノイズが吹き荒れている。

 終始メーターが振り切れた状態で爆走するガレージロックサウンドの熱気もさることながら、やはり強く耳を惹きつけられるのは、芸術的と形容したくなるような、美しく炸裂する刺激的な爆音ギター。リスナーの暴力衝動をアジテートすべく波状攻撃を仕掛けるノイジーなギターサウンドの破壊力は、他のガレージロックバンドから一歩も二歩も抜きん出た感があり、このあたりはさすがケヴィン・シールズといったところか。ただ厳しい言い方をすれば、今の段階では「ノイジーギターが魅力的なガレージロックバンド」の域を出ない状態とも言え、何かあともう一押しヒネリがあっても面白いような気もする。