AUDIONOM/Retrospektiv

★★★★☆

 スウェーデンから超新星の如く現れた9人組ポストロックバンド、Audionom。最近よく聴いていたSpacemen 3に匹敵するカオスと狂喜を全放射する、怪物デビューアルバム。

 オープニングトラック"Ljusets krigare"。CANを彷彿とさせるクラウトロックばりの端正なリズム隊に、鋭利な断面を剥き出しにした金属的なギターが噛みつくように突き刺さる。狂喜の光源となりながら高速で乱舞するシンセのループに、体内血流を突沸させるギターリフの瀑布が覆い被さる"Kristall"、そのまま雪崩れ込む"dc2"においては、砕け散るハイハットの断片と終盤で湧き上がるシンセの爆音に、体内アドレナリンが否応なくその濃度を増していく。脳を揺さぶるパンキッシュなギターリフがリフレインする3分間、Tr.6"Han gar och fisker"で完全にノックアウト。Spacemen 3を高速回転させてシンセをぶちまけたようなTr.10"Horisont"における14分間の狂熱のフィードバックノイズの嵐においては、もう言葉も出ない。すごいスゴイ凄い!!!もはや悶死状態のリスナーに提示されるTr.11"Kein Bock"、、、壮大なストリングスと美しいメロディラインに乗せ、朴訥だが野趣溢れる力強いボーカルが同一フレーズをリフレインし、陽性の光溢れる高みへと昇りつめていく様は、さながら「野人の奏でるBitter Sweet Symphony」。もう何も要りません、、、

 反復する音が生み出す暴力的な昂揚感と、一撃で脳幹を揺さぶる轟音ギターのダイナミズム。緻密でありながら原初的で生々しく、この上なく暴力的なサウンドは、ちょっと他に例えるものが思い当たらない。ライブハウスで一音目が鳴り響く瞬間の昂揚感、終末の何ともいえない充足感、この感覚を幾度となく体感できる今作品、手放しで大絶賛したいと思います。Amazonで取り扱ってないのに何故かタワレコ(梅田店)の試聴機に入っていたこの一枚。近くに寄った際には絶対聴いてください。一応こちらでも試聴できますが、選曲が微妙なので、、、

AUDIONOM/Retrospektiv

★★★★☆

スウェーデンのポストロック集団による2ND。当初の告知からリリースまで相当間が空いていたんだが、どうやらいったんバンド解散⇒再結成という運びがあったらしい。

そうしておよそ4年ぶりに届けられたのが本作。一部で「POWERKRAUT」とも形容されるサウンドは、そのエッジをいっそう際立たせ、パンキッシュとも言える荒くれた鋭さでガン!ガン!に切り込んでくる。すなわち、硬質で鮮やかなエレクトロニカが乱舞する強烈なダンスチューンの連続展開!蒼白い火花を散らす旋律と、執拗なまでにリフレインするワーズが渦巻くアッパー仕様。ときおりファンタジックにも膨らむ爆発的なシンセの奔流に、アカラサマな煽情を塗布する烈しいリズムが掛け合わさされ、ひたすらにアゲてアゲて捲り上げて押し切る展開がなんとも。全面に渡って「気がふれた」風を押し出すヴォーカルもGOOD!

既発シングルをコンパイルした前作よりも、明らかに「一本線上」の流れが強まってるが、ときに狂的に、ときに邪悪でアグレッシヴに、また一方では幼児的にも響く純白のファンタズムに振れてみせたりと、微妙にニュアンスを変える展開がなんともウマく、頭からラストまで脱輪することなく突っ走ること可能。ついでにリピートにも余裕で対応。こんなん聴いて夜通し踊ったらさぞ楽しかろう。

http://www.myspace.com/audionombrigaderna