ASH/Meltdown

★★★★

3年ぶりとなる4thアルバム。各所で「ものすごくへヴィになってる」とか書かれていたのでかなりゴリゴリのサウンドを想像してたんだけど、そこまで大きな変化はなくて、初期の荒々しさを前面に打ち出した感じの曲群は増えたものの、今作でも従来通りのAshワールドが展開されている。

これまでの作品では、良くも悪くもライブとアルバムの差があまり無いような感じがあったバンドだが、今作ではアルバムという形でリスナーに”聴かせる”技術が格段にアップしているように思える。これまで以上にコーラスを多用し、エフェクトがかったティムの声や、様々な質感の空気をまといながら唸りをあげるシャーロットのギターが右から左から聴覚を刺激する。長いキャリアをもつだけあって、バンドとしてのアンサンブルもお見事で、緩急や小休止、転調などを上手く使い、抜群に息の合った熱〜い掛合いを展開している。

前作の"Sometimes"や"Candy"顔負けの泣きのメロディーが素晴らしいTr.5 "Starcross'd"やTr.10 "Won't Be Saved"を含め良曲が満載だが、個人的なお気に入りはボートラで入っている"Tinseltown"。これ、"Inocent Smile"や"Gabriel"系の長尺ナンバーなんだけど、どんどんどんどん疾走していく感じがむちゃくちゃカッコ良い。ほんとこれ1曲でご飯3杯はイケルって感じで。というわけで今作に関しては国内限定版をお薦めいたします。あ、ジャケに関してはノーコメントということで。笑

Twilight Of The Innocents

★★★☆

アルバム毎にサウンド・プロダクションに若干の違いこそあるものの、92年のデビュー以来Ashが鳴らし続けるサウンドは、もうホントに何も変わっていない。(何とも言えんジャケのダサさも併せてね、、、)

蒼く渦巻く胸いっぱいの初期衝動。等身大の愛・憎・悲・喜を、ノスタルジックな感傷と、ロマンティックな旋律に乗せ叩き出す。"永遠のティーンエイジャー"とかいうこっ恥ずかしい形容が、聴けば躊躇うことなく口をつきそうな、無鉄砲な衝動とナイーヴな揺らぎで魅せるロック・サウンド。

"これって世界の終わりなのかな?"

普通に考えれば赤面もののフレーズを、何の衒いもなくリフレインするこの青臭さ。アルバムタイトルが示す感触そのままの、この蒼さに胸鷲掴まれ悶絶するか、そのクサさに違う意味で悶絶するか、それはもう個人の趣味嗜好。好きな人は好き。嫌いな人は嫌いだろう。

ただ、魅せるポップスとして高い完成度を備えたメロで攻めるなら3rdの"Free All Angels"は越えれていないし、度を越えた無邪気さで迫る"1977"の勢い、はたまた前作"Meltdown"でのような明確なコンセプトも無い今作は、間違いなく「彼らの最高傑作」でないと思う。加えて、最近のペラペラとしたライブ音源を聴くだに、シャーロットの抜けた穴のデカさを(ヴィジュアル面含め)痛感させられる。この人達が鳴らすサウンドに、これまで(良い意味で)悶絶させられてきた人にとっては今作も相応の存在にはなるだろう、そんなアルバム。辛口で書いたけど、個人的には好き。余談だけど、日本盤ライナーノーツにおけるタナソウの妄執的な楽曲紹介は、ある意味スゴイので必見(?)

http://www.myspace.com/ash