ANTENNAS TO HEAVEN/The Line Between Myth And Reality Has Always Been In Finland

★★★☆

作曲並びに演奏を行うDavid Smith、作詞を手掛けるPhil Hodgsonの2人によって結成された英国北東部のバンドによる1st。バンド名やジャケからしてGY!BEフォロワーを思わせるが、その音のフォーマットは確かにその系譜のモノ。しかし全般において強く感じられるのは、シリアスな深みや政治的メッセージ性云々というのではなく、単純にして明快な、大いなる多幸感。

マシーンの如きエフェクト処理を施されたDavidのスポークン・ワーズを大々的にコラージュし、光輝く旋回系のギター・テクスチャにより昇り詰めていく。やがて最下部からせり上がり、スペーシーに場を埋めていく轟音の旋律。昂揚中枢の表層を洗い流していくような柔らかな爆音が、なんとも心地良い情動を描き出していく。

ベストトラックは"This Bloody Tarkhovsky Film"
反復するドラム・パターンとノスタルジックに揺れるギター・リフ。眩いヴェールをまとった鍵盤の旋律と共にゆっくりと弧を描き、終局にて美しい日本かくありき!(無意味)な拡散を見せるこのナンバーは、今作におけるハイライト・トラック。

強迫的な重さや、シカツメらしい顔で思考することを強要する響きが一切無い彼らの音楽は、意識することなくサラリと聴き流すことの出来る良い意味で表層的なモノだ。その感覚は、美麗なモノクロ映画を観ているようでもある。興味のある方は是非聴いてみてください。

http://www.myspace.com/antennas