AIRIEL/Battle Of Sealand

★★★★

イリノイ州シカゴの4ゲイザーによる1stフル。ジェレミー・レンのソロ・ユニットとしてスタートし、現在は4人編成のバンドとして活動する彼ら。先のシングル4部作が好評だったこともあり、"満を持して"といった感のあるこのデビュー・フルだが、はっきり言ってこれはかなり良い。というか個人的にめちゃくちゃツボに嵌った。

Airielがかき鳴らす爆音は、もろに90年代初頭のシューゲイズを思わせる。もっと言えば、まさにRideなソレ。ヘナヘナと浮遊する音で「雰囲気を模倣するだけ」の"マイブラ・フォロワー"はアホほど出てくるが、RIDE直系のゲイザーは、知る限りでは少ない。

初っ端の日本語をフューチャーしたインストトラックには思わず脱力(笑)するが、続くTr.2"Thinktank"/Tr.3"Thrown Idols "で、歪み逆巻くフィードバックノイズが空間を一掃。シンセ・パートにUlrich Schnaussが参加したTr.4"Sugar Crystals"などは、誰かの佳曲REMIXのようで個人的には好きになれないが、続くTr.5"You Kids Should Know Better"が決定打。7分を超えるこの長尺ナンバーは、その長さが堂々たるサウンドのハッタリ感と見事にシンクロし、素晴らしい昂揚を爆裂させる。上層を歪め彷徨うフィードバック・ノイズ。爆音の中で振り下ろされる豪胆なギター・リフ。地にドッシリ足をつけ腰を落とし上を見上げ歌い上げるメロディ/リフ/ヴォーカルが巨大な螺旋模様を描き、昂揚の大スパイラルとなって上昇。荒さと蒼さ、力強さとナイーヴさが同居するウォール・オブ・ノイジーサウンドは、もうホント2nd期のRIDEそのもの。

そのRIDEの"Chrome Waves"へのオマージュとも言うべきTr.7"Stay"、端々のアクセントに現在っぽさを打ち出したながらも"正統派シューゲイズ"の旋風を巻き上げるTr.8"Peoria"/Tr.9"The Release"を挟んで、ラストトラック"The Big Mash-up "へ。

ここでもまた、強烈な爆音がブチ撒けられる。野太いバスドラが放つグルーヴに、吹き荒れるギターの暴風、ふてぶてしく歌い上げるヴォーカルが混然となり一体と化し、問答無用でその轟音の渦中へと聴き手を叩き込む。中盤から終盤にかけ一気にラウドさを増していくファズの暴風と共に、全てを攪拌し洗い上げる喧しい10分間の恍惚が、パーフェクト!な空間を形成している。音こそ多少違えど、音のナリのデカさにはOasisを思わせるところさえある。このバンドはこの手の大曲がホントに素晴らしい。久々にこのジャンルで好きなものに当たった気がする。オススメです。

http://www.myspace.com/airiel