AEREOGRAMME/A Story In White

★★★☆

ご存知ケミカルアンダーグラウンドからリリースされた、Glasgowの4人組Aereogrrameの1stアルバム。シングルを出した段階からけっこう話題になってたバンドですが、このデビューアルバムで早くも確固とした世界観を打ち立ててます。このバンドはよく言われているように、静と動のコントラストが非常に印象的で、聴いた当初なんかは、静かな立ち上がりからいきなりギターが暴発して轟音をかき鳴らす"The Question Is Complete"や、穏やかに歌っていたボーカルが終盤でいきなりブチ切れて、気が触れたかのように絶叫する、"Post-Tour, Pre-Judgement"なんかの劇的な「動」の部分にすごく目が行っていたんですが、何回か聴いてるうちに、たとえば"Harted"での重厚なピアノサウンドに溶け込む澄んだボーカルと絶妙に絡みあう柔らかな電子音や、"Sunday 3:52"での荘厳なバイオリンストリングスをバックに展開する、穏やかなエモーションを内包したサウンドのほうに強く惹きつけられるようになってました。

レーベルの関係から、同じポストロックバンドとしてモグワイが引き合いに出されているのを見かけることがありますが、所々で見られる、殺傷力のある金属的なギターの音色から確かに2nd期のモグワイの雰囲気を感じることもありますが、全体を包む荘厳で荒涼とした、それでいて癒されるような空間感覚はSigur Rosに近いかも。全曲通して聴くのはちょっと辛いものを感じることも多いんですが、胸を打つ美しいサウンドがちりばめられた良いアルバムだと思います。



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