ADAM GREEN/Friends Of Mine

★★★★☆

 Moldy Peachesとしての活動も有名なAdam Greenの、ソロとしては2枚目となるアルバム。彼は何歳なんでしょうか?たぶん20代前半だと思うんですが、子供っぽい無邪気さと大人の渋さが同居した、深みのあるなんとも魅力的な声をしています。歌詞は日常的な物事や思いを綴っていて、ちょっぴり暗めですかね。アコギを爪弾くサウンドに加えて、今作ではストリングスが結構頻繁に登場してきて、"Jessica"では少し物悲しく、"Friends Of Mine"では朝の情報番組のようにやけに爽やかに(笑)、"Salty Candy"ではスリリングに、といった感じで曲に合わせてすごくうまく使われてるんですが、かといって大仰な感じになるわけでもなく、曲の持つ素朴な響きをより引き立てる役割を果たしてます。じっくり聴くのも良し、部屋のBGMとしてぼんやり聴くのも良しといった感じの、ものすごく素敵なアルバム。

Gemstones

★★★★☆

 ソロとしては3枚目となる今作。ギター1本と様々なストリングスが織り成す、柔らかく・温かな音空間が印象的だった前作「Friends Of Mine」から一転、今作では飛び交うオルガンサウンドが後期Doorsを連想させる瞬間もある、軽妙なポップナンバーがメイン。

 全15曲で31分。「この人はプログレバンドが10分近くかかって完成させるものを、たった2分で全部やってしまう」と書いてあるのを目にしましたが、まさにその通り。一瞬でリスナーの耳を捉える希代のメロディーセンスと、度重なる転調による息つく間もない展開。それでいて決して散漫な印象を与えることなく、各曲をしっかり完結させてしまう様はほとんど驚愕。「天才」という言葉はこういう人のことを指すんでしょうね。シニカルな歌詞もまた魅力的な今作、間違いなく今年の10枚に入るであろうお気に入りの1枚です。



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