9MM PARABELLUM BULLET/Termination

★★★☆

横浜の4人組によるデビュー・フル。かねてより試聴段階で「とにかくヴォーカルが苦手!」ってんで三度挫折していたが、色んな人から薦められたりなんやかやで、結局アルバムを買ってもた。

プログレッシヴでメタリカル、技巧的で激しく、変則的にバーストする轟音鋭角のインストゥルメンタルは大好物。まさしく昨今の邦インディ・シーンで跋扈する「突然変異型」のカオティック・サウンド。一方で、そんな変態的に尖がった音を聴かせときながら、そこに乗っかるヴォーカルがこの上なく普通の歌モノだというのがこのバンドの最大の特徴で、好き嫌いがパッキリ分かれちゃうところでもある。

半ば昭和歌謡曲めいたところまで退行したメロを聴かせるTr.5"suna no wakusei"Tr.6"Heart-Shaped Gear"あたりはまだしも、90年代半ばのジャパニーズ・ギターロックみたく、妙にアダルトな匂いがする蒼いメロを平熱で唄うヴォーカルがなんともかんともムズ痒い。

カオティックなサウンドに分かり易く「狂った」ヴォーカルを絡める凛として時雨が、ヴィジュアル系サウンドの旨味を他ジャンルのリスナーへと熱狂的に、巧みに布教しちゃったのに対して、9mmの音ってば一部ではそうした「アヴァン」な尖鋭っぷりがありつつ、一方ではそんなのを好む層が眉を顰めそうな「俗っぽさ」が幅を利かせ、それらが一曲の中でモロに衝突してる感じがする。

組み合わせって意味では他に無い感じもして面白いんだけど、好き嫌いでいうとやっぱり苦手なパートが多い。と言いつつも、唄のイロが強すぎないTr.3"Sleepwalk"やラストの"Punishment"あたりは、そのクサ味がとってもクセになりますな。激エキセントリックな感じのするライブは一度は観てみたい。

http://www.myspace.com/9mmparabellumbullet