31Knots/Worried Well

★★★★

US/ポートランドの3ピースによる6th。前作から18ヶ月弱でのスピードリリース。思わず「この変態めがっ(笑)!」と笑みがこぼれる奇天烈ポップなマスロック。

既存の展開を全て否定する、というスタンスに裏打ちされた楽曲は、相変わらずそのどれもが予見不能なフックを満載。ハンドクラップと歌唱のみから成るオープニング"Baby Of Riots"では2方向のリズムが軽快なグルーヴを弾けさせ、続く"Certificate"ではエモーショナルなギターの炸裂に耳を奪われベースの成り上がりに昂ぶり緩と急成す展開に釘付けられるうちに終わるというミラクルを献上。温かい感情の澱を成すVo.を基層に、それを掻き回すリズムのスリルが加わる技法が冴え渡っている。

完全に血肉となったピアノ/シンセ音の大胆な取り込みが、耽美・ゴシック・遊戯的にと振り分けながら楽曲のエモーションを鋭く焚きつける。アナログシンセがRATATAT然とした昂揚で瞬く"The Brakes"、鍵盤が耽美に踊り咲くTr.4,Tr.6を含んだ中盤にかけての流れが素晴らしく良い。

シリアスな核をユーモアで包み込んだスタイルは完全にオリジナル。そのトリッキーな遷移に滑らかな質感さえ感じる本作は、従来以上にその世界観に浸りやすい快作。それがナニかは人によって異なるかもしれないが、聴けば必ずナニカが残る31knots節が最高デス。

http://www.myspace.com/31knots