22-20s/0503

★★★★☆

ブルースを上手く消化して自分たちのサウンドに取りいれているバンドというと、少し前ではKula Shaker、今も活動しているバンドとしてはGomez、そして最近ではClinicなんかが思い浮かぶ。Kula Shakerはインド、Gomezはエレクトロニカとそれらを結び付けて独自のサウンドを開拓し、Clinicに関しては比するものが全く思い浮かばない独自の世界を邁進しているが、どれも独特で刺激的なサウンドである分、好き嫌いが結構分かれる音でもある。"ネオ・ブルース"と形容される22-20sのサウンドは、聴き手を混沌とした渦の中に叩き込むブルースの熱いグルーヴ感と、リスナーを一瞬にして引き込むOasisばりの王道メロディが絶妙に融合した、新しい形の大衆ロックと言えそうな感じもする。

図太いベースラインと熱いビートを刻むドラム、そこに緩急をつけて絡みつく最高に渋いギターリフに打ちのめされる"Devil In Me"や"I'm The One"、オルガン/ベース/ギターによる中盤での渋いジャムセッションから一気に加速する"Messed Up"、激しくかき鳴らされるギターと響き渡るハイハットの洪水に飲み込まれる"Such A Fool"に続き、漆黒のギターリフとlyricsが織り成す、相当に中毒性の高い"22days"、そして締めは圧倒的な力強さを放つ、王道ブルース、、、

ブルースという幾分難解なジャンルを、これだけ聴きやすいものとして提示するセンスと、それを可能にするだけの演奏技術を持ち合わせたかなりの本格派バンドといえそう。アルバムはプロデューサーの手により良くも悪くもなりうると思うが、下地がこれだけしっかりしていればかなり聴き応えのある作品になっていそう。

ST

★★★★

 先に出たライブ盤05/03を飽くることなくリピートしていた中、オーシャン・カラー・シーンやプライマルなどを手掛けたことで有名な、ブレンダン・リンチをプロデューサーに据えてリリースされたデビューアルバム。

 聴き手を張り倒すような、ライブでのザラザラとした熱気に長く触れていたため、さすがにオープニングトラックの"devil in me"を初めて聴いた瞬間には、綺麗に処理された音響空間に違和感を感じた。しかしながら、彼らの持つ泥臭く骨太なロックのダイナミズムはやはり健在で、Tr.4の"22 days"なんかでは、曲の持つ緩急・明暗のコントラストがより鮮やかに浮かび上がっており、これはこれで良さがあるとも感じた。ボブ・ディランライクな弾き語りナンバー"friends"、イントロが微妙に"devil in me"に似ているものの、次第に過熱していくバンドアンサンブルが素晴らしい"why don't you do it for me?"、端正に刻み込まれるドラムスと反復するミドルテンポのギターリフ、そして憂いを含んだメロディーが折り重なり、王道的UKロックを奏でる"shoot your gun"など、とても20歳そこそこの人間が演っているとは思えないような、円熟味のある楽曲が散りばめられている。そして、渦巻くベースとへヴィなドラム、リフレインする重厚なギターリフとその隙間を埋めるように鳴り響くキーボードが、これまでにないダークでサイケデリックな空間を生み出している"hold on"でアルバムを締めるところなどには、小憎らしいまでの上手さを感じてしまった。

 デビューアルバムにして幾分綺麗にまとまりすぎているような気がしないでもないが、バンドの魅力はしっかりと感じ取ることのできる良質な作品。